おいしく炊くコツ

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「うまい飯5ステップ」

いい米を仕入れて、高価な炊飯器に変えれば、おいしいご飯が炊けると思っていませんか?
いいえ、違います。 本当にうまいと思わせるには、コメや炊飯器だけでは足りません。

おいしく炊くには、さらに「技術的な要因」を見直すことが重要となります。老舗の繁盛店は、かならずおいしい炊き方を守っています。毎日食べていただくご飯だからこそ、一度おいしい炊き方を覚えてしまえば、お店は安泰です!
老舗のお寿司屋さんが出す 「銀シャリ」や、おにぎり屋さんがこだわって炊き上げるような「粘りがあるご飯」も基本的な炊き方は同じです。手軽に試せるものなので、この機会に覚えて今日からお店で実践してみてください。

おいしいご飯を炊くための必需品

●炊飯器・計量カップ
計量カップは、水と米の分量を正確に測る必需品です。お店にひとつはあると思いますが、もしない場合は必ず準備してください。

●目的にあった「おいしい米」
料理によって相性のいい米が違います。カレーや炒飯なら味が濃すぎず、粘りも強すぎない「さっぱり系」、おにぎりや焼き肉なら「もっちり系」など。料理が引き立つ米を選ぶことは重要です。(コメの種類については、お気軽にご相談下さい)

●カルキを抜いた水
日本では、水道水は軟水が多いため、基本的には水道水を使用してもおいしいお米を炊けます。しかし水道水は、カルキで消毒されるため「カルキ臭」と言われる臭いが残ります。そのため、おいしいご飯を炊くためにはカルキ除去が必要となります。

おいしいご飯の炊き方

つぎに、おいしいご飯の炊き方「うまい飯 炊き方5ステップ」を紹介します。
一般的には、ご飯を炊くには「米を研ぐ」「炊飯する」で終わり。しかし、本当においしいご飯を炊きたいなら、もっと丁寧に炊飯手順を踏んでいくことが重要 です。面倒だと思うかもしれませんが、それぞれの手順自体は複雑ではありません。一度コツを覚えてしまえば、誰でもできるようになります。

おいしいご飯の炊き方「うまい飯 炊き方5ステップ」

1、コメと水の計量
2、洗米とコメ研ぎ
3、浸水
4、炊飯
5、炊き上がり・ほぐし
さらに詳しく説明しましょう。

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計量カップを使って、コメと水の量をしっかり計る

おいしいご飯を炊くための基本は「水加減」です。料亭や寿司屋さんなど、ご飯の炊き上がりにこだわる老舗飲食店では計量カップでは誤差が出るため、コメと水の量をハカリを使って正確にチェックしている場所もあります。

お 店でご飯を炊くなら、せめて炊飯器に付属されている計量カップを使用して、しっかりコメの量を計ること、炊飯器の水のメモリをきっちり守ることが重要とな ります。最初に、コメと水の量を間違うと後の手順を守っても、おいしいご飯を炊けません。まずはコメと水の量をできるかぎり正確に計ることがポイントとな ります。


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洗米とコメ研ぎは別! コメの研ぎすぎに注意

コメに水を注いだら、すぐに研ぎ始めていませんか?
おいしいご飯を炊くためには、米を研ぐ前の「洗米ステップ」が重要です。やり方は簡単。水を注いで2〜3度ササッとかき混ぜて、その水を捨てるだけです。
コメは最初の水を最も良く吸収するため、コメに付着しているヌカの臭いまでコメが吸い取ってしまいます。風味を損なわないためには、手早く水でコメを洗うとことが大切になるのです。

その次に「コメ研ぎ」
水が入った状態でコメを研ぐ人もいますが、おいしいご飯を炊くためには「水がほぼ切れた状態」でコメを研ぎます。水が入っていると、コメ同士の摩擦が起きないため綺麗に研ぐことができないのです。
研ぐポイントは「ボールを握っているような手の形で、コメをかき回すように研ぐこと」です。

コメが割れるほど力を入れて研いだり、手を早く動かし過ぎるのはNG。コメ研ぎとは「精米したコメの表面についている、ヌカやゴミを取り除くこと」。コメを傷つけてしまう研ぎ方はコメ本来の味を損うことになります。

水 を2〜3回程度変えてコメを研ぎ、研ぎ汁を捨てる際は一度底から軽く混ぜて、沈殿している濃い研ぎ汁を攪拌させて捨てます。ただし、研ぎすぎにも注意。水 が透明になるまで繰り返すと、コメの栄養やおいしさも溶け出してしまうため、うっすらコメが透けて見えるくらいの研ぎ汁の透明度を目安にしましょう。

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浸水がコメ本来のおいしさを引き出す

研いだおコメをしっかり浸水させると、研いですぐ炊くよりもずっとおいしいご飯が炊けます。
これは、浸水させることでコメのデンプン質がアルファー化(糊化)し、米の芯まで熱が通って、米の持つ甘みを全て引き出してくれるからです。

ポイントはコメを水に浸したままにすること。コメを水からだしてザルに上げたりすると、コメが割れる原因になります。

夏場は30分程度、冬場や古米をつかうときは1時間程度を目安に。ただし、夏場におけるお米の浸水作業では、水温が高いとご飯が黄ばむ原因となるので、あらかじめ冷やした水や、氷を入れておくと真っ白いご飯が炊き上がります。

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セット前に一手間! 炊飯器の内釜の水を軽く拭き取る

研いだおコメに水を入れたら、炊飯器にセットしてボタンを押すだけと思いがちですが、その前に、炊飯器内釜の外側についている水を拭き取りましょう。

内釜の外側に水滴や米粒がついたまま炊くと炊飯器の故障の原因になるだけでなく、炊きムラになり、おいしいご飯になりません。内釜を拭き取ってからセットし、炊飯しましょう。

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ご飯をおいしくする最終工程

炊飯器でご飯が炊き上がったら、ここで一手間。ほぐす前に蓋の表面や内釜にびっしりとついた水滴を拭き上げるのが、ご飯をおいしくするための秘訣です。この水滴がご飯に落ちると、水っぽくなります。水滴をすぐに拭けるように炊飯器の近くにフキンを配置しておきましょう。

そして最後のほぐし。炊き上がったら、できる限り早めに蓋を開けて、ご飯のほぐし作業に入ることが重要です。炊いたご飯をしゃもじを使ってほぐすことで、余分な水分が飛び、釜の中の炊きムラが解消されて炊き上がりが均一になります。

釜の中のご飯を十字に区切り、その4分割されたところを、天地返しの要領で底から上下を入れ替えながら、しゃもじで切るようにほぐします。手早く、ご飯を潰さないようにほぐしてください。

ご飯が炊けたまま、ほぐさず放置していると「釜返り」が起きてコメ同士がくっつき、べたっとてしまうので、しっかりとほぐしましょう。

以上がおいしいご飯の炊き方「うまい飯5ステップ」です。

何回か試すうちにコツが掴めてきます。ぜひ実践してみてください。